結論から書く。深夜に投げたいなら、これ以外の選択肢はほぼない。
DARTSLIVE-ZERO BOARDは、ダーツライブの家庭用ボードシリーズのひとつだ。オンライン対戦もカウントアップも搭載していない、ただ投げるためだけのボードである。それでも僕がこれを選んだ理由は、静音性が頭ひとつ抜けているからだ。
僕は元ダーツプロだ。店の筐体で投げてきた時間はそれなりに長い。その耳で聞いても、このボードの静かさは異質だと感じている。
ただし、万人向けの製品ではない。買ってから「思っていたのと違う」となりやすいポイントもある。そこまで含めて書いていく。
【DARTSLIVE-ZERO BOARDの基本スペック】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイプ | ソフトダーツボード |
| プレイングエリア | 15.5インチ |
| サイズ(本体) | 直径 約46.0cm×厚さ 約3.7cm |
| サイズ(サラウンド含む) | 約53.5×53.5×3.7cm |
| 重量 | 約2.0kg |
| 素材 | プラスチック |
| 付属品 | サラウンド4分割、壁取付用ネジ5個、サラウンド留め用両面テープ4枚、取扱説明書 |
| 対象年齢 | 16歳以上 |
ポイントは15.5インチという数字だ。これは店舗のDARTSLIVE3と同じサイズになる。つまり、家で投げている感覚をそのまま店に持ち込める。
練習用ボードでサイズが違うものを選ぶと、家では入るのに店では抜ける、という現象が起きる。ブルの見え方が変わるからだ。競技として上を目指すなら、ここは絶対に妥協しないほうがいい。
取付ネジの位置はDARTSLIVE-100S、200Sと互換性がある。すでにダーツライブのポールスタンドを持っているなら、そのまま載せ替えられる。ボード本体だけを買い替える人にとっては地味に効く仕様だ。
【なぜここまで静かなのか】
このボードの静音性は、専用に新規開発されたセグメントによるものだ。メーカーはDARTSLIVE-200S以上の使用感と説明している。
構造上の違いは、セグメントの固定方法にある。他社の家庭用ボードでは、セグメントが指で押すとわずかに動くものがある。この遊びの部分が、ダーツが刺さった瞬間に振動して音を増幅させる。ゼロボードのセグメントは動かない。音の発生源そのものを潰しに行った設計だ。
実際に投げたときの音は「コン」に近い。刺さる音というより、置く音に近い印象を受ける。あのソフトダーツ特有の「パシィン」という高音が、ほとんど出てこない。
第三者の計測でも、静音化したグランボードと比較して平均値が4.5dB下がったという報告がある。ブリッスルボード(ハードダーツ用)に近い静かさという評価だ。この感覚は僕の体感とも一致する。
集合住宅で夜に投げても、まず苦情にはならないレベルだと思う。ただし、静かになるのはあくまでボードに刺さる音だけだという点は理解しておきたい。抜けた矢が床に落ちる音、投げるときの足の踏み込み、興奮して出る声。このあたりは製品では解決できない。防音マットを1枚敷くだけでも体感は変わるので、階下に人が住んでいるなら併せて検討する価値がある。
※音の感じ方には個人差があります。建物の構造や時間帯によって状況は変わりますので、参考値としてお読みください。
【刺さりと抜きやすさ】
静かなボードは刺さらない、というのが一般的なトレードオフだ。衝撃を吸収する素材ほど、チップが食い込みにくくなる。
ゼロボードは、このバランスがよくできている。粘土に投げているような吸収感がありながら、しっかり止まる。抜くときも軽い。長時間投げても指が疲れにくいのは、地味だが効いてくる部分だ。
抜きやすさは、練習の質に直結する。1回のスローで3本、100スローなら300本抜くことになる。ここが固いボードだと、後半は抜く動作そのものが億劫になって集中力が落ちる。1時間投げ込む前提なら、無視できない差だ。
ただし完全ではない。山なりの軌道で投げると弾かれやすい傾向がある。これはダーツマシンでも同じことが起きるので構造的な宿命に近いが、フラットに近い矢を投げる人ほど恩恵が大きい、とは言える。
スパイダー(セグメントの仕切り)はやや厚めだ。ここに当たれば当然弾かれるが、店の筐体でも同じことは起きる。むしろ本番と条件が近いと考えれば、練習用として理にかなっている。家では入るのに店では入らない、という状態が一番よくない。
もうひとつ注意点がある。DCチップは刺さりづらいとメーカーが明記している。使っているチップによっては相性が出るので、いつも使っているものを一度試してから判断したほうがいい。
【設置は思っているより手間がかかる】
ここが購入前に一番見落とされる部分だと思う。ボードを買えば終わり、ではない。
ソフトダーツの公式規定はこうなっている。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| ブル中心の高さ | 床から173cm |
| ボードからスローラインまで | 244cm |
| ブル中心からスローラインまでの直線距離 | 約299cm |
距離を測るときの注意点がひとつ。244cmは壁からではなく、ボード表面の真下から測る。このボードは厚さ約3.7cmあるので、壁基準で測ると4cm近く手前になってしまう。たった4cmと思うかもしれないが、ブルを狙う精度で言えば致命的なズレだ。
必要なスペースも計算しておきたい。スローラインの後ろに立つので、実際には奥行き320cm程度、横幅は70cmほど欲しい。6畳の部屋なら、物を置かなければぎりぎり確保できる広さだ。
そして固定方法。重量は約2.0kgあり、そこにダーツが刺さる衝撃が加わり続ける。石膏ボードにビスを直接打つのは避けたほうがいい。アンカーを使うか、下地の入っている位置を探して打つ必要がある。
賃貸で壁に穴を開けられないなら、ダーツスタンドを別途用意することになる。ここで数千円から1万円台の追加予算が発生する。ボード単体の価格だけで判断すると、あとで想定外の出費になるので先に組み込んでおきたい。
【この製品の弱点】
ゲーム機能が一切ない
カウントアップもクリケットもオンライン対戦もない。得点は自分で数えるか、スマホアプリを併用することになる。
ここを物足りないと感じる人はDARTSLIVE-200Sを選ぶべきだ。ただし200Sは音がそれなりに出るという話をよく聞く。静音とゲーム機能は、現状トレードオフの関係にあると考えたほうがいい。
僕自身は、機能がないことを利点だと思っている。点数が出ると、どうしても数字を追ってしまうからだ。今日はここを直す、と決めた練習に集中したいなら、むしろ余計な機能がないほうがいい。ただしこれは、投げること自体が習慣になっている人の感覚だ。続けるモチベーションを外から与えてほしい人には、明確に向かない。
サラウンドがずれる
付属のサラウンドは4分割式で、組み合わせ部分に若干の隙間が生じる仕様になっている。設置時にずれやすいという声も多い。付属の両面テープで最初からしっかり固定してしまうのが正解だ。
一人で設置するとまあまあ苦戦する
高さを測り、位置を出し、ネジを打つ。この一連の作業に30分程度かかったという報告もある。メジャーとマスキングテープ、できれば水平器を用意しておくと精度が上がる。二人いれば格段に楽になる作業なので、可能なら誰かに手伝ってもらいたい。
【ゲーム機能がないボードでの練習メニュー】
点数が出ない以上、自分で練習の型を決める必要がある。元プロとしていくつか挙げておく。
ブル練習を1時間。これが基本にして最強だ。ただ漫然と投げるのではなく、10ラウンドごとにブル本数を紙に書く。数字が残れば、それだけで十分ゲーム性は生まれる。
20トリプル固定。1投目がどこに刺さっても、残り2本を1投目に寄せる意識で投げる。グルーピングの練習になる。試合で効いてくるのはこちらの精度だ。
アウターブル禁止縛り。インブルだけをカウントする。心が折れそうになるが、狙う精度は確実に上がる。
セパレートブル想定。インブル50点、アウターブル25点として、10ラウンドの合計点を記録する。日ごとの調子を数値で追える。
こういうメニューを回すなら、ゲーム機能は本当に要らない。逆に言えば、自分で練習を設計できない段階の人には、このボードは持て余す可能性がある。ここは正直に書いておく。
【ランニングコストは低い】
セグメントは消耗品だ。長く使えば必ず割れる。
このボードはセグメントを部位ごとに交換できる。ブルセット、ダブル、トリプルといった単位で交換パーツが販売されているので、割れた場所だけ買えばいい。ボードごと買い替える必要がない。
割れやすいのは、当然ながら投げ込む回数の多い場所だ。ブルと20トリプル。つまり、真面目に練習する人ほど同じ場所が痛む。ここだけをピンポイントで交換できるのは、練習用ボードとして理にかなった設計だと思う。
毎日投げる人ほど、この差は大きくなる。本体価格だけで比較すると見落としがちな部分だ。
※自分でパーツ交換した本体はメーカー保証の対象外になります。購入店の案内をご確認ください。
【まとめ:買うべき人・避けるべき人】
買うべき人
- 集合住宅や賃貸で、夜に投げたい
- 店と同じ15.5インチで練習したい
- ゲーム機能より、投げ込む時間そのものが欲しい
- 自分で練習メニューを組める、または組みたい
- 長く使いたい(セグメント交換で延命できる)
避けるべき人
- 家でカウントアップやオンライン対戦をやりたい
- 一人だと点数を数えるのが面倒で続かない
- 壁に穴を開けられず、スタンド代を上乗せできない
- 奥行き3m以上のスペースが取れない
家投げの一番の敵は、音を気にして投げるのをやめてしまうことだ。投げられない日が続けば腕は鈍る。その意味で、このボードが解決しているのは音の問題ではなく、練習量の問題だと僕は思っている。
静かだから、思い立ったときに投げられる。夜中でも、朝でも。その積み重ねがスタッツに出る。それが一番の価値だ。
※本記事に記載のスペックは執筆時点でメーカーおよび販売店が公表している情報に基づいています。仕様は予告なく変更される場合がありますので、購入前に必ず公式サイトおよび販売ページでご確認ください。
※静音性に関する記述は僕個人の使用環境における感想です。効果や感じ方には個人差があり、すべての環境で同様の結果を保証するものではありません。
※価格は販売店や時期によって変動します。
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