iPhone、Apple Watch、AirPods。Apple製品を並行して使っていると、寝る前に3本のケーブルを挿すことになる。これをまとめたいと思って買ったのが、KEEPROの3in1ワイヤレス充電スタンドだ。現在も使っている。
先に結論を書く。この製品は「速く充電するための道具」ではなく、「3台を1か所に置くための道具」だ。そう割り切れるなら価格に対して十分に働く。逆に、朝の15分で一気に充電したいという使い方には向いていない。
そう言い切れる理由は、使用感の話ではなく、本体の底面に書いてある数字から説明できる。そこが商品名に並んでいる数字とは別のことを言っているからだ。

【スペック】
| 製品名 | KEEPRO 3in1 ワイヤレス充電器(折り畳み式) |
| 本体表記の型番 | T12 |
| 入力 | 9V⎓2A/9V⎓2.7A/12V⎓2A |
| スマホ側出力 | 15W(Max) |
| ウォッチ側出力 | 3W |
| イヤホン側出力 | 5W |
| 接続 | USB-C(本体側面) |
| 付属品 | 20W PD3.0アダプター、USB-Cケーブル |
| 本体表記 | CE/FCC/UKCA/RCM/RoHS/WEEE/屋内使用マーク、Made in China |
| 形状 | 折りたたみ式、ストラップ付き |

【商品名の「15W/10W/7.5W」と、本体の数字は別物】
販売ページの商品名には「15W/10W/7.5W」と並んでいる。一方、本体底面のラベルにはこう書かれている。
- Phone Output:15W(Max)
- Watch Output:3W
- Earbud Output:5W
並べてみると分かるが、10Wと7.5Wという数字は、本体のどこにも出てこない。
この手の表記で15W/10W/7.5Wと並ぶとき、それは「3台それぞれの出力」ではなく、ワイヤレス給電側が対応する電力の段階を並べているのが通例だ。マグネット吸着で15W、一般的なAndroid端末で10W、旧世代のiPhoneで7.5W、という受け手側の区分に対応する。
つまり商品名の数字はスマホ用パッド1面の話であって、3面の内訳ではない。3面の内訳を書いているのは本体ラベルのほうだ。ここを取り違えると「Apple Watchも10Wで充電される」と誤解しかねない。実際に本体が主張しているのは3Wである。
誤解を招く書き方だとは思うが、この並べ方自体はワイヤレス充電器の商品名としてよくある形式だ。責める話というより、買う側が読み分ける必要がある、という話として受け取っている。
【なぜ速くないのか|入力と出力の足し算が合わない】
「速さを求める製品ではない」と冒頭で書いた根拠がここにある。
ラベルの出力を単純に足すと、15W+3W+5Wで23Wになる。一方、付属しているアダプターは20W PD3.0だ。出力の合計が、入れられる電力を上回っている。
さらにワイヤレス給電にはコイル間の変換ロスがある。有線と違い、送信側の電力がそのまま端末のバッテリーに届くわけではない。ロス分を差し引けば、実際に3台へ配れる合計はさらに小さくなる。
ラベルの入力表記には12V⎓2A(24W)という項目もある。より大きなアダプターを使えば入力の上限は上がるが、付属品は20Wなので、箱を開けてそのまま使う限りは20Wが天井になる。
ここから言えることはひとつだ。3台を同時に載せている間、それぞれが公称値どおりの速度で充電されると考えないほうがいい。これは製品の不良ではなく、この構成に必然的についてくる制約だと思っている。
逆に言えば、寝ている間に充電するなら何の問題もない。就寝から起床までの時間があれば、3W だろうと満充電には十分に届く。速度が効いてくるのは「短時間で継ぎ足したい」場面だけだ。
【Apple Watchの3Wをどう見るか】
3面のうち、いちばん割り切りが要るのがApple Watch用の面だ。
Apple Watchには高速充電に対応するモデルがあるが、高速充電を働かせるにはApple認証の充電モジュールが必要になる。このスタンドにMFi認証やQi2認証があるという記載は、僕が確認した範囲では見つけられなかった。ラベルの3Wという数字とあわせて考えると、高速充電は期待しないほうが自然だ。
ただし、これを弱点と呼ぶかは使い方による。Apple Watchは丸一日つけていてもバッテリーが残る機種が多く、寝ている間に充電が終わればそれでいい。朝起きて外出までの30分で充電したい人にだけ問題になる話だ。
なお、この製品にはApple Watch用の充電面が本体に組み込まれている。純正ケーブルを別に用意して通す必要がない。ケーブルを挿す穴が空いているだけのスタンドもあるので、ここは価格の割に手が込んでいる部分だと思う。
【折りたたむと手のひらサイズになる】

この製品の分かりやすい長所が畳めることだ。3面が重なって、角の丸い正方形のブロックになる。ストラップが付いているので、カバンの中で引っ張り出しやすい。
据え置きの3in1スタンドは、たいてい台座が張り出していて持ち運びに向かない。畳めるだけで泊まりがけの荷物が減る。ケーブル3本とアダプター1個を持ち歩くのに比べれば、このブロック1個とアダプター1個で済むのは明確に軽い。

給電はUSB-Cが1本だけだ。3台を充電するのにコンセントを1口しか使わない。デスクでも宿でも、これは効いてくる。
【弱点|買う前に見ておきたいところ】
都合の悪いところも書いておく。
1. 速度は最初から諦める前提で買うもの
前述のとおり、入力20Wに対して3面の公称合計が23W。同時使用時は各面が公称値を下回ると考えるのが自然だ。急ぎの充電には有線を使ったほうが早い。
2. 認証まわりの記載が確認しづらい
本体ラベルにあるのはCE、FCC、UKCA、RCM、RoHSなどで、MFiやQi2の表記は見当たらなかった。また、本体ラベルにPSEマークは確認できなかった。ワイヤレス充電パッド自体はDC入力なので電気用品安全法の対象になるのは付属のACアダプター側だが、購入したら付属アダプターにPSEマークがあるかどうかは自分の目で見ておいたほうがいい。ここは製品というより、この価格帯の輸入品全般に言えることだと思っている。
3. ケースの厚みで吸着が変わる
マグネット式は間に挟まる厚みに影響される。厚手のケースやカードホルダーを使っているなら、保持力は試してみるまで分からない。
4. 屋内使用マークが付いている
ラベルに屋内使用を示す表示がある。当たり前ではあるが、車中や屋外に置きっぱなしにする使い方は想定されていない。
5. 型番の表記が販売ページと揃っていない
本体には T12 と刻まれているが、同じ商品名で流通しているものには別の型番のものもある。仕様が完全に同一とは限らないので、レビューを読むときは型番まで見たほうがいい。この記事で書いているのは T12 についてだ。
【買うべき人/避けるべき人】
向いている人
- 寝ている間に3台まとめて充電できればいい人
- ケーブル3本とアダプター複数の状態から抜け出したい人
- 出張や旅行で充電まわりの荷物を減らしたい人
- コンセントの口数が少ない部屋に住んでいる人
- Apple純正の3in1に近い体験を、その価格を出さずに得たい人
避けたほうがいい人
- 短時間で一気に充電を継ぎ足したい人
- Apple Watchの高速充電を使いたい人
- MFiやQi2の認証があることを条件にしている人
- 厚手のケースやスタンド一体型ケースを外したくない人
- 据え置き専用で、角度や高さにこだわりたい人
【まとめ】
KEEPROの3in1ワイヤレス充電器は、速度で選ぶ製品ではない。本体ラベルの数字を素直に読めば、そこは最初から書いてある。
ただ、充電というのは大半の時間、寝ている間に終わっているものだ。速度が問題にならない時間帯にしか使わないなら、この製品の弱点は僕の生活に一度も現れない。そのうえで、ケーブルが3本消えて、荷物が畳めて、コンセントが1口で済む。
速さを買う製品ではなく、置き場所と本数を買う製品。そう理解して選ぶなら、価格に対してよく働いていると思う。
※本記事は、僕が実際に購入して使用している製品について書いています。スペックは本体底面のラベル表記および販売ページの記載に基づいており、充電速度の実測は行っていません。記載のない性能について断定はしていません。
※充電速度や動作は、接続するアダプター、ケーブル、端末のモデル、ケースの厚み、室温などの条件によって変わります。使用感には個人差があります。
※MFi認証・Qi2認証・PSEマークについては、本体および販売ページで確認できた範囲の事実のみを記載しています。認証の有無や内容は販売元・ロットにより異なる場合がありますので、購入前および購入後に付属品も含めてご自身でご確認ください。
※価格・在庫・仕様・付属品・型番は変更される場合がありますので、購入前に販売ページの最新情報をご確認ください。
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