最初に結論です。MOTU M2は、同価格帯で「音質」「低レイテンシ」「見やすいメーター」「配信に必須のループバック」まで過不足なく揃った、最も失敗しにくい2イン/2アウトのUSB-Cオーディオインターフェースです。
歌録り、弾き語り、配信・ポッドキャスト、DTMの打ち込み、どれも安心して“土台”を任せられます。迷っているなら、まずM2を選んで問題ありません。
- 製品概要:2イン/2アウト+MIDI、24bit/192kHz、フルカラーLCDメーター
- 主要スペック(ハイライト)
- 音質評価:ESS系コンバータの“クリア&フラット”
- レイテンシ:専用ドライバで“体感ゼロ”に近づく
- メーター&モニタリング:作業効率を上げる“見える化”
- ループバック:配信・ポッドキャストの“必須機能”が標準
- 接続性・電源・設置性:小型・堅牢・バスパワー
- セットアップ手順の目安(初回)
- 使用感レビュー:宅録〜配信まで“ストレスが消える”
- 競合比較:M2で十分? それともM4/他社?
- デメリット・注意点
- こんな人におすすめ
- まとめ:この価格帯の“完成形”。最初の一台にも、買い替えにも
- 仕様まとめ(抜粋)
- 参考:初期設定のコツ
- よくある質問
- 総評
製品概要:2イン/2アウト+MIDI、24bit/192kHz、フルカラーLCDメーター
MOTU(Mark of the Unicorn)のM2は、2入力/2出力のデスクトップ型インターフェース。
24bit/最大192kHzに対応し、前面にXLR/TRSコンボ×2(マイク/ライン/Hi-Z)、背面にバランスTRSアウト×2とRCAアウト(ミラー出力)、ヘッドホン端子、そして5ピンMIDI In/Outを装備。
フルカラーLCDメーターが入力・出力の両方を高解像度で表示するのが大きな特徴で、ピークだけでなく“どのくらい余裕があるか”が一目で分かります。さらに**各入力ごとに独立の48Vファンタム/ゲイン/MON(ダイレクトモニター)**ボタンを備え、バスパワー(USB給電)で動作します。
主要スペック(ハイライト)
- 24bit/44.1〜192kHz
- 前面:XLR/TRSコンボ×2(Mic/Line/Hi-Z)
- 独立48Vファンタム×2、独立MONボタン×2(モノ/長押しでステレオ)
- 背面:TRSバランスアウト×2(DCカップルド)、RCAアウト×2(TRSのミラー)、MIDI In/Out
- フルカラーLCDメーター(入出力)
- ループバック対応(ドライバ導入時)
- クラスコンプライアント(macOSはドライバなしでも動作。※低レイテンシ&ループバックは専用ドライバ推奨)
- ラウンドトリップレイテンシ目安:2.5ms(96kHz/32サンプル、Windowsドライバ)
- 公称ダイナミックレンジ:120dB(出力)、EIN:約−129dBu(マイク入力)
- 付属ソフト:MOTU Performer Lite / Ableton Live Lite ほか
音質評価:ESS系コンバータの“クリア&フラット”
M2はESS Sabre系のD/Aを搭載し、出力のダイナミックレンジは約120dBとアナウンス。実際の聴感も透明感のあるフラット寄りで、余計な色付けが少なく、ボーカルの”サ行”やアコギのアタックが過度に刺さらないのが好印象です。
マイクプリの自ノイズ(EIN)は約−129dBu。実測系の計測でもこのクラスの上位に位置する静粛さと歪みの低さが報告されており、コンデンサーマイクでの歌録りでも十分にS/Nを稼げます。
ヘッドホン出力も必要十分な駆動力で、モニター用途なら300Ω級でも実用レベル。宅録〜ポッドキャストの範囲で不満が出るケースは少ないでしょう。
レイテンシ:専用ドライバで“体感ゼロ”に近づく
Windowsでは専用ドライバでRTL(ラウンドトリップレイテンシ)2.5ms@96kHz/32サンプルが公称値。これはソフトウェアエフェクトをかけながら歌う/弾く場面でもほぼ違和感がないレベルです。
macOSはクラスコンプライアントで挿せば動きますが、低レイテンシとループバックを使うならMOTU M-Series Driverの導入を強く推奨します。DTMのソフト音源(ピアノ/ドラム)をリアルタイム演奏する人ほど、ドライバ導入の恩恵は大きいはずです。
メーター&モニタリング:作業効率を上げる“見える化”
この価格帯でフルカラーLCDメーターは稀有。入力・出力の両方を常時可視化でき、ゲインつまみ→メーターで追い込むが直感的に決まります。
さらに各チャンネル独立のMON(ダイレクトモニター)ボタンで、入力を遅延ゼロで自分の耳に返す設定がワンタッチ。長押しでステレオ結合できるため、ステレオペアのマイク録音にも対応しやすい設計です。
一点、“入力とDAW出力のブレンド比を回すミックスノブ”はM2にはありません(上位のM4には搭載)。とはいえ、M2でもMONボタンとDAW側のモニター設定で多くの用途は問題なくカバーできます。
ループバック:配信・ポッドキャストの“必須機能”が標準
専用ドライバ導入で、PCの再生音を仮想入力として取り込む“ループバック”が有効になります。
BGMや通話音声、ゲーム音、ブラウザの音をマイク入力とミックスしてOBSや各種配信ソフトへ送れるため、配信・オンラインイベント・レッスンでとにかく便利。外部ミキサー不要でクリーンに収録できるのは大きな強みです。
接続性・電源・設置性:小型・堅牢・バスパワー
USB-C接続(USB 2.0規格)、バスパワー動作で持ち運びにも有利。背面のTRSバランスアウトはDCカップルドで、サブウーファーや外部機器との相性も良好。
RCAアウトはTRSのミラーなので、民生機のアンプ/スピーカーにもそのまま接続できます。MIDI In/Outがあるので、キーボードや外部音源の同期も一台で完結します。
セットアップ手順の目安(初回)
- 接続:PC/MacへUSB-Cで接続(必要に応じて付属ケーブル+A変換)。
- ドライバ:Windowsは専用ドライバ必須。macOSも低レイテンシ&ループバック目的なら導入推奨。
- DAW設定:入出力に「MOTU M2」を選択、サンプルレートとバッファを用途に合わせて調整。
- マイク:必要なら48Vを使うチャンネルだけオン。入力ゲイン→LCDメーターで-12〜-6dBFS付近に。
- モニター:遅延を感じるならMONボタンでダイレクトモニター。二本のマイクをステレオにするなら長押し。
- 配信:OBS等ではループバック入力を選択し、マイクと適切にミックス。
使用感レビュー:宅録〜配信まで“ストレスが消える”
- 歌録り/ナレーション:静粛でクリア。ゲインを上げてもザラつきにくく、S/Nの確保が容易。
- アコギ&弾き語り:Hi-Z対応で直接ライン録りもOK。MONボタンで遅延ゼロの自分返しが作りやすい。
- 配信/ポッドキャスト:ループバック+見やすいメーターで“音出しミス”が激減。ゲストがいても運用がシンプル。
- DTM:低レイテンシでソフト音源の弾き心地が快適。発音遅れのストレスが小さいのは生産性に直結します。
競合比較:M2で十分? それともM4/他社?
- MOTU M4:入出力が4イン/4アウトになり、ミックスノブで入力/DAW出力のブレンドを直感操作可能。ステム出し・外部エフェクト接続が多いならM4が有利。
- Focusrite Scarlett 2i2(4th Gen):Auto Gain/Clip Safeで適正レベル取りを自動化。セルフ録音が多く、ゲイン調整の手間を極小化したい人に魅力。音質傾向はやや“映える”方向。
- Audient iD4 MkII:堅牢な作りと厚みのあるプリが人気。M2ほどの表示系やループバック運用の気楽さはないが、音の“キャラクター性”で選ぶ余地。
- Steinberg UR22C:堅実なドライバとDSPエフェクト。Cubaseとの相性は抜群。M2のフルカラーLCDほどの視認性はない。
総評:録音〜配信まで“広く深く”を一台でならM2。入出力の拡張や物理ミックスノブが欲しくなったらM4。録音支援の自動機能を最重視するなら2i2(4th Gen)が有力、という棲み分けです。
デメリット・注意点
- ミックスノブ非搭載:入力/DAW出力のブレンドはM4のほうが直感的。M2はMONボタン+DAW側で調整。
- USB給電の安定性:バスパワーはPC側の電源品質に影響されます。ノイズや電力不足が気になる環境ではセルフパワーUSBハブやPC側ポートの見直しを。
- iOS接続:アダプタと給電付きUSBハブが必要になるケースがあります(運用は要確認)。
こんな人におすすめ
- はじめての本格録音を“確実に成功させたい”人
- 配信/ポッドキャストを高音質・簡単運用で始めたい人
- 歌録り〜打ち込み〜ミックスまで一台で回したい宅録勢
- 小スペース運用でも視認性の高いメーターが欲しい人
まとめ:この価格帯の“完成形”。最初の一台にも、買い替えにも
M2は、音質・レイテンシ・運用性・価格のバランスが極めて高く、2イン/2アウト界隈の完成形と言える存在です。
とくにフルカラーLCDメーターとループバックは、日々の作業ストレスを目に見えて減らします。最初の一台にも、入門機からの買い替えにも自信を持って推せる定番機です。
購入前チェックリスト(失敗防止)
- ☐ コンデンサーマイクを使う? → 使うチャンネルだけ48Vオンにできる
- ☐ 配信もやる? → ループバック対応でOK
- ☐ 物理ミックスノブが必要? → 必要ならM4を検討
- ☐ 外部MIDI機器を使う? → 5ピンMIDI In/Outあり
- ☐ ヘッドホンは高インピーダンス? → モニター用途なら実用レベルで駆動可能
仕様まとめ(抜粋)
- 解像度:24bit / 44.1–192kHz
- 入力:XLR/TRSコンボ×2(Mic/Line/Hi-Z)
- 前面操作:ゲイン×2、48V×2、MON×2、Phones/Monitorボリューム、LCDメーター
- 出力:TRS(バランス)×2 / RCA(ミラー)×2 / ヘッドホン×1
- その他:MIDI In/Out、USB-C(USB 2.0)、バスパワー
- 代表値:出力DR 120dB、マイク入力EIN 約−129dBu、RTL 2.5ms(96kHz/32サンプル、Winドライバ)
- 同梱ソフト:Performer Lite / Ableton Live Lite など
参考:初期設定のコツ
- 歌録り:ピーク−6dBFS付近を狙ってゲイン設定、必要ならMONオン。
- 配信:MOTUドライバ導入→ループバック入力を配信ソフトに割当て→BGM/通話とマイクを適正バランスに。
- DTM:96kHz/64〜128サンプルあたりから試し、クリックやプチノイズが出ない最小まで詰める。
よくある質問
Q. ループバックはMacでも使えますか?
A. 専用ドライバ導入で可能です(macOSはドライバなしでも動きますが、低レイテンシ&ループバック目的で導入推奨)。
Q. M2とM4で迷っています。
A. 入出力拡張とミックスノブが必要ならM4。そうでなければM2で十分満足できます。
総評
MOTU M2は“価格を超えた完成度”を実感できる一台。 初めての本格録音から、配信・ポッドキャスト、DTM制作まで、あなたの“音の土台”として長く働いてくれるはずです。