結論から書く。優劣ではなく、役割が分かれた。
僕はトラックボールを2台持っている。ロジクールの親指操作タイプ「M570」と、エレコムの人差し指・中指操作タイプ「HUGE」だ。
そして今、この2台は使う場所が分かれている。仕事でがっつり使うときはM570。自宅でブログを書いたり動画を見たりするときはHUGE。気分で持ち替えているわけではなく、使っているうちに自然とこうなった。
同じ「トラックボール」という括りの道具なのに、なぜここまで役割が分かれたのか。2台を併用してきた立場から書いていく。
【2機種の基本スペック】
| 項目 | ロジクール M570 | エレコム HUGE(M-HT1URBK) |
|---|---|---|
| 操作タイプ | 親指操作(右手用) | 人差し指・中指操作 |
| ボール | 親指で転がすタイプ | 直径約52mmの大玉 |
| 接続 | Unifying対応USBレシーバー(2.4GHz)/Bluetooth非対応 | USB有線(ケーブル約1.5m) |
| ボタン数 | 5(スクロールホイール含む) | 8(ホイールボタン含む)+チルトホイール |
| チルト(水平スクロール) | なし | あり |
| カウント切替 | ― | 500/1000/1500の3段階 |
| 電源 | 単3形乾電池×1本/電池寿命 最大18か月 | USB接続(電池不要) |
| 寸法 | 145×95×45mm | 幅114.7×奥行181.9×高さ57.2mm |
| 質量 | 約142g | 約268g(ケーブル含む) |
| パームレスト | なし | 低反発素材のパームレスト搭載 |
| 発売 | 2010年10月 | 公式サイトに発売日の記載なし |
出典:エレコム公式製品ページ、ロジクールおよび販売各社の製品情報、各本体裏面の表示。M570のセンサー解像度は情報源によって表記が異なるため記載していない
数字だけ並べるとHUGEのほうが多機能に見える。ボールも大きいし、ボタンも多い。だが実際の使い分けは、この表から読み取れないところで決まった。
【いちばん違うのは、どの指で転がすか】


2機種の差は、ボタンの数でもサイズでもない。ボールを動かす指が違う。ここが全てだと言っていい。
親指タイプは、普通のマウスの持ち方をほぼそのまま引き継ぐ。手のひらを本体にかぶせて、クリックは人差し指と中指。増えるのは「親指でボールを転がす」という役割ひとつだけだ。
人差し指・中指タイプは、その分担ごと組み替える。今までクリックに使っていた指がボールを転がす側に回り、クリックは別の指が受け持つ。手の置き方も変わる。覚え直す量が単純に多い。
この違いが、慣れるまでの時間差になった。そして最終的に、どちらをどの場面で使うかまで決めてしまった。
【慣れやすさは親指タイプの圧勝。ただしHUGEも進んではいる】
M570は、買って数日で普通に使えるようになった。持ち方が変わらないので、意識するのは親指だけだ。壁が低い。
HUGEは違った。1年近く使った時点で書いたレビューでも、まだぎこちないと書いている。「1〜2週間で慣れます」という一般論とは、全く違う体感だった。
その後どうなったかというと、少しずつマシにはなってきている。1年時点よりは狙った位置にカーソルが止まるようになった。完全に慣れたとは言えないが、進んではいる。
つまり、慣れないわけではない。時間のかかり方が桁違いなだけだ。ここを事前に知っているかどうかで、この製品の評価は変わると思う。

【仕事でM570を選んでいる理由】
仕事でがっつり使う場面では、迷わずM570を持つ。理由は単純で、操作に意識を使わなくて済むからだ。
作業中に考えたいのは作業の中身であって、カーソルの止め方ではない。HUGEだと、いまだに狙った位置で止める瞬間に微調整が入る。時間にすれば一瞬だが、その一瞬に意識が向く。集中を切らす要因を、仕事の道具に持ち込みたくない。
もうひとつは無線であることだ。仕事では机の上のレイアウトが日によって変わる。書類を広げれば入力機器の位置もずれる。ケーブルがないだけで、この置き直しが気楽になる。
電源が単3形乾電池1本というのも効いている。電池寿命は最大18か月とされていて、実際「そろそろ切れそう」と身構える機会がほとんどない。充電のために作業を止める場面が発生しない。

【自宅でHUGEを使っている理由】
自宅ではブログを書いたり、動画を見たりしている。この用途にHUGEが合っている。
まず、精密さをあまり要求されない。動画を見ている間はそもそもカーソルを動かさないし、ブログの執筆はキーボードが主役だ。多少ぎこちなくても支障が出ない。
次に、机が据え置きだ。自宅の作業机はレイアウトが固定されている。有線であることも、本体が大きいことも、動かさない場所ではデメリットにならない。むしろ電池切れがない点が効く。
そして低反発素材のパームレストだ。手のひらから手首までを乗せたままにできる。長時間画面の前に座る使い方とは、この形が素直に噛み合う。
結果として、自宅のHUGEは「慣れの練習台」も兼ねている。困らない場所で毎日触っているから、少しずつ進む。仕事で使う道具でこれをやっていたら、進む前に嫌になっていたと思う。
【手首の負担はどちらも減る。減り方が違う】
そもそも僕がトラックボールに来たのは、マウスで手首を痛めかけたからだ。その目的については、2機種とも効いている。
本体を動かさないので、手首を左右に振る動作そのものが発生しない。これは親指タイプでも大玉タイプでも共通だ。
違うのは支え方になる。M570は本体が小さく、手を乗せる位置にある程度の自由がある。姿勢を変えながら使える。HUGEはパームレストで手のひらから手首までを固定する形になるので、安定はするが姿勢の自由度は下がる。
長く同じ姿勢で座るならHUGE、姿勢を変えながら使うならM570。使ってみての体感はこうだ。ただしこれは僕の手と机の話であって、誰にでも当てはまるとは限らない。
【ボタンは8つと5つ。多いほうが勝ちではない】

HUGEは8ボタンにチルトホイールが付き、専用ソフトで割り当てを変えられる。M570は5ボタンでチルトなし。数だけならHUGEの圧勝だ。
ただ、6年以上M570を使ってきて思うのは、咄嗟に押せないボタンは付いていないのと同じだということだ。5つなら体が全部覚える。HUGEのほうは、正直まだ全部を使いこなせていない。
例外はチルトホイールで、これははっきり便利だ。横に広い表やPDFを扱うとき、横スクロールが指先で完結する。ブログで表を触るときには効いている。ボタンの数より、この1機能のほうが実用差としては大きい。
【置き場所という現実的な差】
HUGEは幅約115×奥行約182mm、質量は約268g。パームレスト込みの形状なので、専有面積は普通のマウスの比ではない。机の上を固定で占有する。
M570は145×95×45mm、約142g。トラックボールとしては小さい部類で、持ち運びも一応できる。ただしUnifyingレシーバーが必要なので、USBポートを1つ使う点は覚えておきたい。
据え置き前提ならHUGEの大きさは問題にならない。逆に机が狭い、あるいは持ち歩くなら選択肢から外れる。
【これから買うなら、どちらから入るか】
2台使った上での結論を書く。
トラックボールが初めてなら、親指タイプから入るほうが失敗しにくい。持ち方が変わらないぶん、合うかどうかの判断が早くつく。合わなければ短期間で分かるし、合えばそのまま主力になる。
ただしM570は新品での入手が難しくなっている。これから買うなら現行の後継機ERGO M575SPになる。2024年9月19日発売で、Logi BoltレシーバーとBluetoothの両方に対応し、クリック音はM575比で約80%のノイズをカットしたとされている。親指で転がすという操作の本質は変わっていないので、この記事でM570について書いたことは、そのまま当てはまるはずだ。
大玉に興味があるなら、2台目として試すのが現実的だと思う。HUGEは大玉トラックボールとしては手の届く価格帯にあり、合わなかったときの損失が小さい。ただし慣れるまで時間がかかる前提で買ったほうがいい。
逆に勧めないのは、いきなりHUGE1台に絞ることだ。慣れる前に仕事で困る。僕が2台持ちになったのはたまたま順番がそうなっただけだが、結果的にはこの形が正解だった。
【まとめ】
2台を併用して分かったのは、トラックボールをひとつのカテゴリとして語るのは無理があるということだ。
親指タイプと大玉タイプは、操作する指も、慣れるまでの時間も、向いている場面も違う。「トラックボールは慣れが必要」という一般論も、どちらの話をしているかで意味が変わる。
僕の場合は、仕事はM570、自宅はHUGEに落ち着いた。片方を手放す気にはならない。速さと確実さが要る場所と、腰を据えて長く座る場所とで、道具に求めるものが違うからだ。
もし1台に絞れと言われたら親指タイプを選ぶ。だが2台あるなら、この振り分けは悪くないと思っている。
※本記事は、僕が実際に購入して使用している2製品について書いています。スペックはメーカーおよび販売各社が公表している情報と、本体裏面の表示に基づきます。
※M570は2020年6月に購入して6年以上、HUGEは1年以上使用しています。使用期間も使用場面も異なるため、同一条件での比較ではありません。
※操作への慣れやすさ、手や腕の疲れの感じ方には個人差があります。手や手首の痛みが続く場合は、入力機器の変更で解決を図る前に医療機関にご相談ください。
※M570のセンサー解像度は情報源によって表記が異なっていたため、本記事では記載していません。
※後継機のERGO M575SPは未購入のため、公表されている仕様に基づいて記載しており、使用感の評価はしていません。
※HUGEには有線モデルとワイヤレスモデルがあり、有線モデルにも複数の型番が存在します。購入時は型番をご確認ください。
※価格・仕様・流通状況は変更される場合がありますので、購入前に販売ページの最新情報をご確認ください。
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※本記事の作成にあたり、文章の構成・編集にAIを利用しています。掲載内容の最終確認は僕自身が行っています。
