最初に立場をはっきりさせておく。このキーボードは一定期間使ったあと、僕はすでに手放している。だから実機の写真はない。以下は所有していた期間の記録として読んでほしい。
そのうえで書くと、製品そのものへの評価はいまも高い。打鍵音は気持ちよかったし、1万円でこの中身なら文句はない。手放した理由は、製品の出来ではなく僕の環境のほうにあった。
会社で使うキーボードと配列が違いすぎて、家と職場の往復に指がついていかなかった。この記事はその話が中心になる。「良いキーボードなのに手放した」という結論なので、買うかどうかの判断材料としては、たぶん普通のレビューより役に立つと思う。
【先に確認|日本語配列モデルは有線専用】
レビューに入る前に、間違えやすい点をひとつ。
R75には海外向けのワイヤレス対応モデルが存在する。しかし日本で流通しているAmazon.co.jp限定の日本語配列モデル(ASIN:B0CJ2LXNFN)は、USB-C有線専用だ。Bluetoothも2.4GHzワイヤレスも、内蔵バッテリーもない。
ネット上には「3WAY接続」「マルチペアリング対応」と書かれた記事もあるが、それは別モデルの話が混ざっている。同じ「R75」という名前でも中身が違うので、日本語配列を買うつもりなら無線は使えないと考えておいたほうがいい。
僕は据え置きで使うつもりだったので、有線であること自体は問題にならなかった。
【スペック】
| 製品名 | RK ROYAL KLUDGE R75(Amazon.co.jp限定 日本語配列モデル) |
| ASIN | B0CJ2LXNFN |
| 配列 | 75%配列/日本語JIS/84キー |
| 接続 | USB-C有線のみ |
| スイッチ | メーカー表記「Silver Switch Pro」リニアスイッチ(工場潤滑済み) |
| ホットスワップ | 対応(3ピン/5ピン) |
| マウント | ガスケットマウント構造 |
| キーキャップ | PBT(Cherry Profile) |
| その他 | アルミ製ボリュームノブ、RGBバックライト、専用ソフト対応 |
| 価格 | 9,999円(税込)。クーポンで8,000円台になる時期もある |
【コトコト音は、どこから出ているのか】
使っていて毎日うれしかったのが打鍵音だ。キーを押すたびに、コトコト、スコスコという柔らかい音が返ってくる。安いキーボードのカチャカチャした反響音とは別物だった。
これは感覚の話ではなく、構造で説明がつく。
安いキーボードが硬い音になるのは、基板がケースにネジで直付けされていて、打鍵の振動がそのままプラスチックの箱に伝わって反響するからだ。ガスケットマウントは、基板をシリコンの緩衝材で挟んでケースに浮かせる構造で、振動がケースに直接伝わらない。だから高い成分の音が減って、低くこもった音になる。
そこに、内部の吸音材が箱の中の空洞で音が響くのを抑え、PBTキーキャップの厚みが指先で叩く音そのものを鈍らせる。音を「足している」のではなく、余計な音を順番に引き算していった結果が、あのコトコト音だ。スイッチも工場潤滑済みのリニアなので、擦れる音が最初から少ない。
ひとつ補足しておくと、この音は僕の感覚では「小さい」ではなく「気持ちのいい音がそれなりに鳴る」だった。静かなオフィスや、同じ部屋に人がいる環境なら気になる可能性はある。静音リングを足せば抑えられるが、それをやると魅力の半分は消える。ここは好みで決める部分だ。
【1万円に何が入っているか】
1万円でホットスワップ、ガスケットマウント、PBTキーキャップ、ボリュームノブ、RGB、専用ソフト。これが全部入っている。
メカニカルキーボードは、こだわり始めると数万円が普通に飛んでいく世界だ。R75の価値は「安い」ことではなく、「良いキーボードとは何が違うのか」を1万円で体験できることにあると思っている。ガスケットマウントの音がどういうものか、PBTキーキャップの手触りがどう違うのか。これを知ったうえで次を選べるかどうかは大きい。
ホットスワップ対応なのも、その延長線上にある。はんだ付けなしで、付属の工具でスイッチを引き抜いて差し替えるだけ。「もう少し重い打鍵感がいい」「タクタイルを試したい」と思ったとき、本体ごと買い替えずに済む。入門機なのに、入門で終わらない逃げ道が用意されている。
ボリュームノブは、回すだけで音量が変わるという、それだけの機能だ。ただ使い始めると戻れなくなる類のもので、キーボードから手を離さずに済むのは想像以上に快適だった。
専用ソフトについては、キー割り当てとライティングの変更ができるという以上のことは書かない。僕が深く触っていないからだ。ここは実際に使う人が自分で確認したほうがいい。
【配列のクセ|アンダースコアに独立キーがない】
ここが購入前にいちばん確認してほしいところだ。
75%配列は、フルサイズからテンキーを取り、さらにキーの間を詰めて横幅を縮めた配列だ。矢印キーとファンクションキーは残っている。問題は、詰めるときに日本語配列だけが持っているキーが削られるという点にある。
具体的に、アンダースコア(_)とバックスラッシュに独立したキーがない。入力するには Fn を組み合わせたキー操作が必要になる。JISフルサイズなら右シフトの左隣にある「ろ」のキーが、この配列では省かれているためだ。
これが刺さるかどうかは、何を打つかで決まる。日本語の文章を書くだけならほぼ影響しない。一方、プログラミングやファイル名でアンダースコアを日常的に打つ人には、毎回2キー操作が挟まることになる。1回あたりは小さいが、変数名を書くたびに発生する。
右シフト周りの幅も標準と違う。フルサイズやノートPCから来ると、最初の数日は記号の位置を探すことになる。これは慣れで解決する範囲ではあった。
【手放した理由|2つの配列を往復できなかった】
そして、その「慣れで解決する」という前提が、僕の場合は成り立たなかった。
会社で使っているキーボードは標準的な配列だ。家ではR75、会社では別の配列。片方に慣れると、もう片方が崩れる。家で指が覚えた位置が会社では空振りし、会社で戻した感覚が家では通用しない。これを毎日繰り返すことになった。
ここで大事なのは、この問題は「慣れれば解決する」という一般的なアドバイスの外側にあるということだ。慣れというのは1つの配列に指を最適化することで、2つの配列を毎日往復する人間には、そもそも最適化する先が定まらない。時間をかければ解決する類の話ではなかった。
だから僕は手放した。製品の評価は変わっていない。打鍵音の良さも、価格に対する中身の充実も、使っていた間ずっと満足していた。手放す判断を分けたのは、製品の出来ではなく、僕が1日のうちに2種類のキーボードを打つ生活をしているという事実のほうだった。
逆に言えば、毎日ひとつの配列だけを打てる人なら、この問題は起きない。75%配列を買うかどうかの判断は、スペックではなく「自分は1日に何種類のキーボードを打つのか」で決めたほうがいい。これは僕が1万円と数か月を使って学んだことだ。
【メリットとデメリット】
良かったところ
- ガスケットマウント+PBT+潤滑済みリニアによるコトコト音
- 1万円で本格的な構造をひと通り体験できる
- ホットスワップ対応で、スイッチ交換という伸びしろがある
- ボリュームノブが手を離さずに使える
- 75%配列で、矢印キーとファンクションキーは残っている
不満なところ
- 日本語配列モデルは有線専用(無線モデルと混同されやすい)
- アンダースコアとバックスラッシュに独立キーがなく、Fn併用が必要
- 他の配列と併用する生活だと、慣れが定着しない
- 打鍵音は小さくない。静かな環境では気になる可能性がある
- Amazon限定モデルはカラー展開が限られる時期がある
【向いている人/向いていない人】
向いている人
- 家でも職場でも同じキーボードを使える人、または自宅だけで完結する人
- メカニカルキーボードを1万円以内で試したい人
- 打鍵音の気持ちよさを重視する人
- スイッチ交換をいずれ試したい人
- デスクの横幅を空けてマウスを大きく動かしたい人
向いていない人
- 職場と自宅で違う配列を毎日行き来する人(僕がこれで手放した)
- アンダースコアを頻繁に打つ人
- 無線で使いたい人(日本語配列モデルは有線のみ)
- 静音性を最優先する人
- テンキーを毎日使う人
【まとめ】
RK ROYAL KLUDGE R75は、1万円という価格で構造の良さをひと通り体験できるキーボードだった。ガスケットマウントの音、PBTキーキャップの手触り、ホットスワップの気楽さ。「良いキーボード」という言葉が何を指しているのかを、この一台で理解できた。
それでも手放したのは、キーボードという道具が、指の記憶と一対一で結びつく道具だからだ。性能の良し悪しより先に、自分がどの配列に指を預けるのかを決める必要がある。僕はそれを決められない生活をしていた。
だからこの記事の結論は、おすすめでも非推奨でもない。1日にひとつの配列しか打たないなら、これは良い買い物になる。2つの配列を往復するなら、値段や打鍵音より先にそこを考えたほうがいい。僕が1万円で学んだのは、製品の評価と自分に合うかどうかは別問題だ、ということだった。
※本記事は、過去に購入して使用していた製品についてのレビューです。執筆時点ではすでに手放しているため、実機の写真は掲載していません。
※スペックは執筆時点でメーカーおよび販売ページが公表している情報に基づきます。R75には仕様の異なる複数のモデルが存在するため、購入時はASINおよび商品ページの記載をご確認ください。
※打鍵感・打鍵音・配列への慣れに関する記述は僕個人の感想です。手の大きさ、設置環境、普段使っているキーボードによって感じ方は大きく変わります。
※価格・在庫・カラー展開・仕様は販売店や時期によって変動します。購入前に販売ページの最新情報をご確認ください。
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※本記事の作成にあたり、文章の構成・編集にAIを利用しています。掲載内容の最終確認は僕自身が行っています。お気づきの点があればお問い合わせフォームよりご連絡ください。

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